●「すべては生徒一人ひとりのために」という想い

本校は1926年に実業家である滝信四郎が設立しました。中学校は1947年併設になります。質実剛健・勤勉力行・報恩感謝を建学の精神とし、教育理念・教育目標に発展させています。
深める・拡げる・支える教育を教育目標として、学習に非常に力を入れている学校です。例えば、火曜学習会は、定期考査の結果から、学習到達度が不十分とされる生徒を対象として火曜日の放課後から下校時間までの時間を英語、数学の補講に当てています。また、最寄駅の近くに「滝教育研究所」なる学習施設を作り、そこで主に大学受験のために頑張る生徒をサポートしています。生徒のモチベーションをあげるために、年10回程度外部講師を招いて、日常の授業ではできない講座を展開する「土曜講座」もあります。

 国語算数社会理科総合
受験者平均点67.553.232.434.2187.3
合格者最低点206(68.7%)

受験者1803人 合格者668人 実質倍率(受験者数÷合格者数)2.70倍
【2023年度】
受験者平均188.1点、合格最低得点率69.7%
【2022年度】
受験者平均196.1点、合格最低得点率72.3%

●論説文の傾向と対策

本校は、「自己の社会的責任を自覚し、周囲に対するやさしさを持って、それぞれが歩むネットワークの中で、かけがえのない役割を果たす生徒の育成を目指す」と謳っています。ですから、ネット情報や環境問題、ダイバーシティなど先進的なテーマをもとにして、その中でどうやって社会貢献していくかということを述べた文章が多いです。

ただし、3000字程度の長さなので、スピード感をもって読む必要があります。内容は自然科学に結びつけるものが多いので、そういったテーマに抵抗をもたないようにするのが良いでしょう。

では、傾向と対策についてお伝えしていきます。

まず、本校の論説文にかける時間は後半の物語文のことも考えて20分程度とするのが良いでしょう。
論説文は少し読みにくいですが、設問は記述問題以外は解きやすいものとなっています。
反対に、物語文は読みやすい反面、設問の難度は高いです。特に、選択肢問題は文章中にない言葉を多用しているので、正確な照らし合わせが必要になります。

さて、論説文に戻りましょう。

前述の通り、記述問題以外は平易ですが、記述問題は長い分確かな解き方を知っていないと多く時間をかけてしまうことになり、後に控えている物語文にあまり時間をかけられなくなります。
確かな解き方、というふうに書きましたが、長い記述であれば非常に効果的なのが、
「解答欄の後ろから言葉を積み上げていくこと」です。

少し、解答の実演をしましょう。
例えば、2024年度入試の大問1問7であれば、語尾が「〜すればよい。」と答える問題です。まずは、そのすぐ上にくる言葉を探します。最後に筆者が結論を述べている段落からとると、「かれらとともに「正しさ」を作っていけばよい。」となります。
次に、かれらとは誰かを考えて記述するのです。直前の文章に、「多様な他者」とあります。
したがって、「多様な他者と「正しさ」を作っていけばよい。」となります。
では今度は、どう作っていくかを記述します。
すると、「理解し合う」とありますので、これをつけて「多様な他者と理解し合って「正しさ」を作っていけばよい。」となります。

これで27文字ですので、条件の65文字まであと38文字です。結論の段落で、「「正しさは人それぞれ」でも「真実は一つ」でもなく〜他者と理解し合う」と書かれています。これまでの文章で一貫して、人それぞれの正しさと客観的で正しい答え(真実)の2つの正しさについて、否定的な論述をしているため、これを上乗せします。

そうすると、「人それぞれの正しさを認めたり、客観的で正しい答えを求めるのではなく、多様な他者と理解し合って「正しさ」を作っていけばよい。」(61文字)というように解答ができます。

日常的に、説明文の読解は20分程度でできる練習をしておくと良いです。選択肢問題は、必ず全ての選択肢を問題文と照らし合わせて、該当する部分に×や△をチェックしておくのが大事です。

本校を受験する子どもにとって、本校の論説文はそれほど難度が高い問題ではありません。「いかに早く解くか」ということを常に意識することが大切です。頑張りましょう。

●物語文の傾向と対策

では、次は物語文にいきましょう。

論説文の傾向と対策の部分でも述べましたが、本校は、「自己の社会的責任を自覚し、周囲に対するやさしさを持って、それぞれが歩むネットワークの中で、かけがえのない役割を果たす生徒の育成を目指す」と謳っています。
ですから責任感や優しさをテーマにした文章が多いのでしょう。そして、それは戦争や病気、障害、不登校、転校などデリケートな事情で傷ついた人を取り巻く環境の中で、「どうあるべきか」ということが問われています。

委員会など人をまとめたりして、その過程でうまくいかなかった経験がある生徒は共感がしやすいですが、全員が全員そのような経験をしているとは言い難いでしょう。経験を積む余裕があるのなら、本をたくさん読ませるのも一つです。テキストなどで扱われている文章のうち、続きが気になるものでいいので出典を見てそれを買って読んでも良いでしょう。余裕があまりない場合は、テキストの文章だけを読み重ねていってもいいと思います。問題になる部分は人の心の機微が繊細に描かれていて、最も読み応えのあるところが多いですから。
ただ、これらはあくまでおまけ的な対策であって、根本的な対策とは言えません。

滝中学の物語文は、選択肢に文章中にない言葉が入ることがあります。24年度の入試問題で例を挙げてみましょう。大問2の問8の選択肢問題で、不登校の兄がいる主人公は、兄がアルバイトを始めれば兄にとってとてもいいことで自分も嬉しいと思っていたが、一方でそれは「不登校の兄」がいなくなるという自分都合なのではないか、と思い悩む話です。
設問は、この気持ちに「自分が情けない」、「自分への嫌悪感」、「自分へのいきどおり」、「兄に対する申し訳なさ」という言葉を当ててそれぞれ選択肢にしています。
これは、「情けない」「嫌悪感」「いきどおり」がどういう意味なのかを正確に言えないと非常に間違えやすい繊細な作りの問題になっています。
別の言い方をすると、「直感で答えると間違えるように精巧に作り込んで」いるのです。
ですから、心の機微を捉えるのであれば、まずは語彙力というのが欠かせない要素になります。
そして、選択肢は丁寧に一語ずつ意味を解きほぐしていくことで正解にたどり着くことができます。

選択肢問題を完璧に攻略できたなら、記述問題は部分点狙いでも良いと思います。むしろ、選択肢問題が正確に解けるようになると、記述問題も自然と解けるようになります。
滝中学の国語の生命線は選択肢問題です。どの学校もそうですが、語彙は丁寧に学習をしましょう。